*正しい姉弟の切愛事情*
「ナースにはまだまだ怒られてるみたいだよ?」
1年目の新米なんて、指導医がいないと何もできないヒヨッコだ。
私が苦笑すると、ミヤちゃんは「えー」と不服そうに頬を膨らませた。
「それにしても、研修医なんかと結婚決めて、本当にいいんですかぁ?」
「え?」
彼女は急に、真夜中の病棟でユウレイでもみたような寒々しい表情を見せた。
「研修医なんて、お給料あってないようなもんじゃないですか」
さっきは羨ましいと口にしていたのに。
必死に結婚を諦めさせようとしてる姿が、逆に微笑ましい。
「うん、いいの」
「でも先輩、ずっと結婚を拒み続けてたんですよね? どうして急に……」
私のことまで知ってるなんて、やっぱり情報が早い。
ミヤちゃんの若さに思わず笑ってしまう。
「そろそろ潮時かなと思ってね」