*正しい姉弟の切愛事情*
業務を終えて更衣室に向かう途中、久野先生が前から走ってきた。
「一歌、やっぱ今日、大丈夫んなった」
疲れた顔を嬉しそうに綻ばせ、私の前で立ち止まる。
「え、小谷さんは?」
さっきは容態が安定しないって言ってたよね?
担当患者の状態が悪ければ当然、主治医は病院に泊まることになる。
なんだかんだで忙しい久野先生は、ここ3日間病院に泊まり込みだった。
今日で4日目か、と思っていたのに、
「輸液で血圧安定したし、呼吸も脈も異常ないから、杉本先生が今日は帰ってもいいって」
さすがに指導医から帰宅許可が出たらしい。
「飯、食い行こう」
「うん」