*正しい姉弟の切愛事情*



――キス。 


別に、なんてことはなかった。


初めてしたときは多少緊張もしたけれど、今となってはただの柔らかな皮膚の触れ合いにしか感じられない。

と、思っていたけれど……


「……?」


石川君の唇はなかなか離れていかなかった。

それはいつもよりずっと長くて、


い、息が――


いつもと違う様子に戸惑っていると、大きな手に顎をつかまれ、唇の隙間に微かな違和感を覚えた。


その瞬間、
 


――ガシャン!
 


後方で響いた派手な物音に、私と石川君は慌てて体を離した。



< 8 / 428 >

この作品をシェア

pagetop