*正しい姉弟の切愛事情*
「あの、さぁ…」
「……」
「……」
言葉が途切れたまま、部屋の中には時計の音が満ちていく。
カチ、カチ、と、まるで鼓動の速さでも測定するみたいに。
時間の経過とともに濃さを増していく沈黙に、なんだか息が詰まりそう。
と、
「俺、本気だから」
「な……なにが?」
思わず聞き返すと、弟は足を一歩踏み出した。
「だから……好きだって話」
まっすぐ見つめられ、私の心臓はさらに加速する。
「ちょ、ちょっと待って」
じりじりと近づいてくる弟から逃れるようにラグの上を後退すると、ベッドに背中がついた。
私を追い詰めるように立ちはだかっていた瑞貴が、ゆっくりとしゃがみこむ。