【完】隣の家のオオカミさん

鏡に映る自分の首もとに釘付けになった。



「お……っ、大上くんー!コレはなにー!?」



部屋にはもう大上くんはいないけど、叫ばずにはいられなかったのだ。


この赤いやつは何?
虫さされっぽいけど……ぼこっと腫れてはいない。


玄関のドアが開く音がしてわたしは急いで駆け寄る。



「コレ、何ですか」

「俺のモノっていう印」



にやっと笑いながらわたしに手を伸ばしてくる彼に一歩後ずさりしようとしたが、強引に腰を引き寄せられる。



「コレが消える前に喰わせろよ。もうそろそろ我慢の限界」



囁くような甘い声で惑わすオオカミ。

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