【完】隣の家のオオカミさん

「仲良さそうな二人がちょっと羨ましくなっちゃって。昔のこと思い出しちゃった」



ふふっと上品に笑うその姿はいつもと変わりはない。

でも、どこか違う。
目……かな。笑ってない。



「…二人はいつまでつきあってたの?」

「中三から高一の夏休みまでかな」



一番長かったんだ、と付け足す美里ちゃん。

大上くんは、つきあっては別れるを繰り返す人だったらしい。


一年以上続いた二人はすごいってことになるよね……。


それだけ本気だったのかな。



「……私が全部悪いんだ。私が郁磨を傷つけたの」



独り言のように呟いた言葉はわたしの耳にはっきり届いた。

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