【完】隣の家のオオカミさん


「ごめん、二人とも。あたし先帰るね。ちょっと急用できちゃって」



戻ってきた千絵は帰り支度を始めると早口でそんなことを言った。


わたし達の異変には気づかない。
この空気には気づかない。



「え、じゃあみんなで帰ろうよ!わたしもこの後バイトあるから」



バイトがあるのは本当。
でもまだ時間は十分にあった。

みんなと別れたら本屋でも寄って時間をつぶそうか。


美里ちゃんと二人でいると苦しくなる。


変に緊張してしまう。



駅前で二人とは別れてわたしはコンビニに寄ってから本屋へと向かった。


大上くんに聞いてみてもいいのかな。
元カノだった美里ちゃんのこと……。



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