【完】隣の家のオオカミさん
「──はい、お疲れ様。及川さん、もうあがっていいよ」
小さな袋を差し出しながらニコッと笑う店長の奥さん。
「新作だって。食べたら感想聞かせてね!」
「わぁ、ほんとですか!ありがとうこざいますっ」
両手で受け取ってわたしは袋をまじまじと見つめた。
ふわふわしててすごくおいしいんだよね、ここのパン。
街でもちょっと有名なパン屋さんなんだって。
こんなすごいところで働かせてもらえるなんて、すごく嬉しい。
素早く着替えをすませもう一度挨拶してから店を出る。
バイト先が変わっても大上くんは変わらず迎えにきてくれる。