【完】隣の家のオオカミさん
いつも通り店の前で大上くんは待っていた。
「お、なんかいいもん持ってんな」
「ダメだよ。これはわたしが先に食べるの」
「一緒に食えばいーじゃん」
「そんなこと言っていつも全部一人で食べちゃうじゃん」
わたしが肩に掛けていたサブバッグを自然な動きで大上くんは取ると自分の手に持った。
空いた手でわたしの手を握る。
そんなことサラッとやっちゃう大上くんって改めて思うけどやっぱりかっこいい。
でも、自分の荷物ぐらい自分で持てるんだけどなぁ。
「集中講義どうだった?」
「すっごい疲れたよー。あと3日間頑張んなきゃだ」