【完】隣の家のオオカミさん
「遅いなぁ………」
昨日、いつ帰ってきたのかも分からない。
今日はまだ大上くんの姿を見ていない。
わたしがバイトに行く前に大上くん、出かけちゃったらしい。
隣同士なのにな。
鳴らない携帯をぎゅっと握ると
微かなバイブ音が聞こえて手の中で携帯が震えていた。
「もしもし?」
『日向子、今どこ?』
焦ったような声の大上くんにどうしたのだろうと思いながら答える。
「まだ家には帰ってないよ。公園で待ってるけど……。大上くんは今バイト帰り?」
『いや……あー、うん。バイト今終わった。てかおまえ公園にいんの!?」