【完】隣の家のオオカミさん
なに?
公園にいちゃいけないの……?
首をかしげながらも大上くんの声に意識を集中させる。
『……ほんとごめん。今日は迎えに行けない』
しんと辺りは静まり返っていて、本当にわたししかいない。
ぼんやりとした街灯の明かりに視線を動かす。
携帯を持つ手に力が入る。
「分かった。一人で帰れるから大丈夫だよ」
努めて明るい声を出す。
わたしはいつからこんなわがままになったんだろう。
待ってたのに。
迎え来るって言ったじゃん。
こんなこと、思っちゃうなんて。