【完】隣の家のオオカミさん
押し黙る電話の向こうの人に震える声でもう一度言った。
「美里ちゃんといるんでしょ?」
微かに聞こえてきた鈴を転がしたような可愛らしい声。
“郁磨”ってはっきり呼んでた。
美里ちゃんしかいないでしょ?
突然近くで聞こえたキャンキャンと犬の鳴き声に肩があがり、携帯を落としそうになる。
び、びっくりしたなぁ……もう。
『まだ公園にいんの?早く帰れよ。危ないって何回言ったらおまえは……』
「心配してるフリやめてよ」
なんで話をはぐらかすの?
美里ちゃんと一緒にいる理由ぐらい言ってよ。