【完】隣の家のオオカミさん
『は? なんだよそれ』
苛立ちを隠さないでいる大上くんも大上らしい。
疑心暗鬼になってしまうわたし。
もう、どうしたらいいの。
大上くんがちゃんと話してくれないせいでしょ?
ねえ、違う?
「もう、いい。切るね」
一方的に電話を切ってわたしは鞄の中に放り投げた。
なんで話してくれないの?
偶然そこで会ったんだ、とか言えばいいじゃん。
どうして?
なんで美里ちゃんと一緒にいるの?
***
信じる気持ちが自分を強くする。
信じる気持ちがなければ、些細なことで関係は崩れてしまう。
ちゃんと、信じてるよ。
───だからさ、不安にさせるようなことばかりしないで。