【完】隣の家のオオカミさん
とりあえず散らばっている物を鞄の中に戻し、日向子に渡した。
「大上くんのばか。嫌いっ! 大嫌いっ!」
乱暴に鞄を引っ張るとそう言い捨てて中へと入っていった。
一人外に残された俺。
ドンドンとドアを叩く音だけが辺りに響いている。
「おい、日向子。開けろ」
「うるさい。やめてよっ……近所迷惑!」
「はぁ……おまえ意味わかんね」
「意味わかんないのは大上くんじゃんっ」
怒りをぶつけられて少したじろいでしまった自分が恥ずかしい。
いつものんびりとしてて温厚な性格の日向子。
普段はめったに怒ったりしないから見ることはなかった。