【完】隣の家のオオカミさん


「こうやって夜遅くに呼び出しても来てくれるのは私に同情してるからなんでしょ。郁磨が私のことを好きなんだとは勘違いしてないよ」


でもね?と美里は続ける。



「日向子ちゃんと一緒にいる郁磨を見てるとムカつくの」



それがどうしたんだよ、と言おうとしたその時ふいに腕を引っ張られ床に膝立ちになると美里が首に手を回してきた。



「郁磨はまだ完璧には日向子ちゃんのことを信じていないよ」



耳元でそう囁かれたかと思えば今度は柔らかい感触が唇に当たる。


なに、キスされてんだよ俺……


まとわりついてる腕をはがして美里の肩を押して静かに立ち上がった。



もう、いいわ。家まで歩いて帰ろう。

間に合わなくなる前にちゃんと話さなければ。


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