【完】隣の家のオオカミさん
「今日のあの笑顔マジで可愛かった。俺の前でも毎回あぁやって笑ってよ」
今日のあの笑顔というのはなんのことだろう。
頭の中で今日の出来事が駆け巡っている。
わたしの笑った顔って、そんな褒められるようなものなの?
いつだって洸汰さんは優しい。
わたしに笑え、って言ってるんだよね。
…あまり優しくしないでほしい。
「俺の気持ちなんてもう気づいてるでしょ」
肩に重みが乗っかって洸汰さんの香りが鼻をかすめる。
息遣いさえはっきりと感じてしまうぐらい
近すぎる距離。
視界の端に映るその頭に触れようとしてあげた手をゆっくりと引っ込める。