【完】隣の家のオオカミさん




うすく積もっている雪の上を足跡をつけながら歩いていく。


行きの時は軽かった鞄も帰りはこんなにも重くなってしまった。


ほとんど食べ物。
お母さんに持たせられちゃった。


久しぶりに見るアパートはすごく小さく感じられた。


静かに階段を上がり慣れたように鍵を開ける。



「──お、日向子。帰ってきたんか」



一歩足を踏み入れたところでわたしの動きは止まった。


久しぶりに聞いた声にやっぱり体は反応してしまう。


ドキドキなんてそんな可愛いものじゃなくて、ドンドンと胸を叩く音ばかりに意識がいってしまう。



大上くん───……


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