【完】隣の家のオオカミさん
「美里と日向子に抱く感情は違う。言葉にうまく表現できねーけど、美里のは恋愛感情じゃねんだよ。
あいつはつきあいも長いし、いろいろあるから守ってやらなきゃとは思ってたけど……美里が求めているものに対して俺は答えられない」
美里ちゃんが大上くんにとって大切な存在だということは変わりない。
美里ちゃんの好きは恋愛としての感情。
大上くんの好きは……
恋愛感情通り越して、妹とか家族みたいなものに対する感情だろうか。
自分たちのアパートが見えてきた。
この先もこの温もりを感じていたい。ずっとずっと。
絶対にもう手は離さないよ。
「俺は諦めるつもりねぇから。洸汰になんて負けてられっかよ」
二階建ての古いアパート。
この狭い階段を上がれば玄関のドアはすぐに見える。