【完】隣の家のオオカミさん
「よく考えたら大上くんにチョコあげるって初めてかも」
千絵の家へと向かう電車の中、何気なく目に入った広告をぼんやりと見つめながら千絵に話しかける。
「へえ。高校ん時は?」
「三年生は二月は学校が休みだったじゃん。だからバレンタインのことなんてすっかり忘れてたし……その時はまだつきあってなかったもん」
大上くんが好きだなんて認めたくなかったんだよね。
ていうか……よく考えてみたらわたしって高校生の時に男子に手作りチョコなんて贈ったことがないじゃん。
もっと青春しとけばよかったなぁなんて思っちゃったり。