【完】隣の家のオオカミさん

電車を待ってる間、手に持っている紙袋に視線を落としてはどうしても口元が緩んでしまいそうになる。


絶対に絶対、喜んでもらえると思う。

すげえな、って言ってもらえるかな。


渡すのがすごく楽しみだ。



最寄り駅に到着してまっすぐと家へと帰る。


スーパーにも公園にも寄り道しない。


大上くんは今日バイトないって言ってたから今は家にいるかな?

何もすることがないとすぐに寝てしまう大上くん。


電話してもどうせ出ないだろう。



空を仰ぎ見てコートのポケットに手を突っ込んだ。


今日はバレンタインデー。


素敵な一日になりますように。


心の中でそうつぶやいて歩くスピードを少しだけあげた。


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