【完】隣の家のオオカミさん

いつも通るアパート近くの公園。

学校帰りのランドセルを背負った小学生が数人いた。


遊具で遊んでるのかと思ったらそうではなかった。


この公園にはすごく大きな木が一本ある。

その木をその子達は見上げていた。

公園の入り口から見えたその光景につい、足を止めてしまう。


みんな何を見ているんだろう?



「……あーっ! お姉さん、すみませんー!」



わたしの方にそんなことを叫びながら走ってくる男の子。


え、わたし?



「木にボールが挟まっちゃって困ってるんです。取ってくれませんか?」


「ボール……?」



ボールがどうやって挟まれるの?

枝に乗っかっちゃったり引っかかっちゃったりしてる感じ?


< 381 / 393 >

この作品をシェア

pagetop