【完】隣の家のオオカミさん
いつも通るアパート近くの公園。
学校帰りのランドセルを背負った小学生が数人いた。
遊具で遊んでるのかと思ったらそうではなかった。
この公園にはすごく大きな木が一本ある。
その木をその子達は見上げていた。
公園の入り口から見えたその光景につい、足を止めてしまう。
みんな何を見ているんだろう?
「……あーっ! お姉さん、すみませんー!」
わたしの方にそんなことを叫びながら走ってくる男の子。
え、わたし?
「木にボールが挟まっちゃって困ってるんです。取ってくれませんか?」
「ボール……?」
ボールがどうやって挟まれるの?
枝に乗っかっちゃったり引っかかっちゃったりしてる感じ?