【完】隣の家のオオカミさん
眉を寄せてわたしを見下ろす大上くんが立っていた。
今、バイト帰りなのだろうか。
というか……今何時でしょうか。
「わたしの家に来るのって大上くんぐらいじゃん」
「ちゃんと確認してからドアを開けろ。分かったな?」
はーい、と返事すれば大上くんはわたしの頭にぽんと手を乗せて靴を脱ぎ、家へとあがった。
この頭ぽんってのに毎回胸がドキッと反応してしまう。
すごく慣れたふうにやるんだ、大上くん。
「寝てたん?」
「うん。ちょっと寝ちゃってたっぽい」
時計に目をやるともうすぐで午後7時になろうとしていた。
うわー……寝過ぎたなぁ。