【完】隣の家のオオカミさん
ソファに腰を下ろす大上くんの隣にわたしも座った。
窓から少しだけ冷たい風が入ってきてその涼しさに思わずまた目を閉じそうになる。
「──日向子。これ、なに?」
耳元で聞こえた声に顔を向ければ一瞬にして視界が変わる。
がっしりと腕を押さえつけられて起きあがろうと頑張るが起き上がれない。
一気に目が覚める。
「大上くん、なに……どうしたの?」
「どうしたはこっちのセリフ。これ、なんだって聞いてんだけど」
トントンと鎖骨下あたりを指差す大上くんにわたしは顎を引く。
絆創膏の上を綺麗な指が這う。