腕枕で眠らせて



「やっぱ来なければ良かった…」


周りに人がいないのを確認してそっと母に向かってぼやいた。


「いい歳して何言ってるの。あなたいっつも集まりに顔出さないんだから、来たときくらいシャンとしなさい」


いい歳して叱られてしまった。酷い。
エグい質問攻めされてる娘が不憫じゃないの。


「だってみんな仕事は大丈夫かとか早く子供産めとか余計なお世話ばっかりなんだもん」


「余計なお世話じゃないでしょ。従妹のエミちゃんはあなたより年下なのにもう3人も子供がいるのよ。あなただって少しは焦らないと」


えーー。お母さん、普段はそんなコト言わないのに。

やだ、なんか伯母さん達の毒にあてられてる?


「つがるの姉さんが美織にお見合い話紹介してくれるって言ってたわよ。せっかくだからお話聞いてらっしゃい」


「ええっ!?何それ!いらないわよ、そんなの!」


「いらなくないでしょう。姉さん顔が広いからきっといい人紹介してくれるわよ」


「本当にいらないってば!お断りします!」


たまらず私は台所からも逃げ出して、自分の鞄を掴むと裏口から庭へと脱出した。




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