腕枕で眠らせて
完全に頭の中が考え事でいっぱいになっていた私は、水嶋さんが顔を覗き込んで来た事に慌てて、サンプルを持つ手を滑らせてしまった。
「あっ」
カシャン
硬質な音をたてて、小さな硝子玉が幾つか砕け散った。
「し、失礼しました!」
ボケッとしていた事と、焦って硝子を割ってしまったと云うダブルの失態に思わず顔が赤くなる。
いやだ、私何やってるんだろう。
これは仕事なんだから、男も女も関係ないのに。
変に意識しすぎて、こんな失敗までして、みっともない。
せっかく商品を気に入ってくれたのに、呆れさせちゃったらどうしよう。
ただでさえ緊張していた私に、失敗が追い討ちを掛けて動悸を早くさせる。
完全に動揺していた私は思わず落ちた硝子を素手で拾おうとしてしまった。
けれども。
「…!」
尖った硝子の先端に指が触れる瞬間
水嶋さんが私の手を掴んだ。