腕枕で眠らせて
好きな人と飲むカクテルはとても甘く感じられて。だからかな、少し飲みすぎてしまったのは。
「顔、熱い…」
バーから出て、涼しい夜風を手で扇いで頬に当てた。
「顔、赤いですよ」
そう言って私の顔を覗き込みクスクスと紗和己さんが笑う。
「やだ、見ないで。恥ずかしい…」
思わず頬を手で覆って横を向いてしまった。
紗和己さんと一緒で安心してたからかな、顔に出るほど飲んでしまったのは。
なんだか浮かれてたみたいで恥ずかしくて、赤い顔がますます赤くなってしまう。
そんな私を見て紗和己さんは
「あまり遅くならないうちに帰りましょうか」
と目を細めた。
さっきよりもいささか静かになった夜の道を再び並んで歩き出す。
特に何も喋らなくても、二人に纏う雰囲気は柔らかいまま。
コッソリと覗き見た街灯に照らされた紗和己さんの横顔は相変わらず穏やかだ。
安心する。
安心するから、甘えてしまう。
「紗和己さん」
「はい」
「私…ズルくないですか?」