腕枕で眠らせて
バーでお酒を飲んでる時、隣のカップルが気になって仕方なかった。
そっと手を握り合って肩を寄せ合いながらお酒を飲んで。
私と紗和己さんの距離とは明らかに違う。
比べるものじゃ無いって分かってても、何か突き付けられてる気がした。
「…紗和己さん。…キス…しましょうか…」
進まなくちゃいけない気がして。
両親も親戚も隣のカップルも知らない他人も、紗和己さんも
『早く進め』って、言ってる気がする。
さっさとキスをして、抱かれて、結婚して、子供を産めって。
…大丈夫。紗和己さんのコト好きだから。
私、きっと進める。
「…美織さんは…したいですか?」
勇気を出した私の言葉に、紗和己さんは驚くような質問を返してきた。