腕枕で眠らせて



きっと

さっきより1センチ近くなった距離で、私たちはまた歩き出す。



「男の人ってみんな、もっとガツガツしてるものかと思ってました」


「人に寄りますよ。僕は気が長いんです」


「草食系とは違うのかな」


「待つのが楽しい肉食系ですかね」


「あはは、新ジャンルだ」



紗和己さん。貴方が愛しいです。

そして、貴方の隣を歩く自分さえも愛しいです。



二人の間を抜ける夜の風は少し冷たくて

この風がもっと冷たくなる頃には、きっと間を抜ける事が出来ないくらい私たち近くなってるといいな、なんて。

そんな事をぼんやり思いながら駅までの道を歩いた。








私はグラグラでダメだなぁ。

でもだからこそ、紗和己さんみたいな人が隣にいてくれて良かった。


そんな幸せをしみじみ感じながらいつものようにサンキャッチャーを黙々と作ってた私の部屋に、今日もお母さんが突撃開始。



「美織、昨日は帰り遅かったわね。誰かと一緒だったの?」


「うん、彼氏と一緒に飲んでたの。ちゃんと送ってもらったよ」


手元の細かい硝子から目を離せないまま答えた私に、お母さんが溜め息を吐いたのが分かった。



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