腕枕で眠らせて
愛子は私が会社勤めをしていた時の同じ部署の同期で。
そしてあの失恋のとき私を慰めてくれた大切な友人でもある。
私が退職してからも交流は続いてたんだけど中々こうして会う機会も無く、実に数ヵ月ぶりの今日の再会は素直に嬉しくて乾杯のビールを一層美味しくさせた。
「あ、これお土産。こないだ川越行ったの。お芋の和菓子。愛子、薩摩芋好きだったよね?」
「わーありがと。いいね、川越。誰と行ったの?」
差し出した箱を受け取って嬉しそうにお礼を述べた愛子が、それをしまいながらハッと顔を上げた。
「もしかして…美織、彼氏出来た?」
「えへへっ」
「本当に!?おめでとうー!!」
私の報告に躊躇いの無い祝福をしてくれる友人が嬉しい。
「久しぶりに飲もうなんて珍しいコト言うから何かと思ってたら、そういう事かー!」
愛子は本当に嬉しそうに目を細めると私の手を両手でぎゅうっと握りしめて
「本当に良かったねー!おめでとう美織!」
そう繰り返した。