腕枕で眠らせて
水嶋さんの一瞬驚いた顔を見て、しまったと思った。
けど。だって。
あまりにも馴れ馴れしいじゃない。
いくらなんでも、初対面の女の手を握るだなんて。
軽薄。いやらしい。
優しそうな顔してやっぱりこの人だって、下心のある男なんだ。
緊張してパニクって、ドキドキ言いっぱなしの心から湧いてくるのはどうしてか
元彼の…男への憎しみばかり。
私の手を握った目の前の水嶋さんの姿が、元彼とダブって見えてくる。
もうやだ、だから男なんかと関わりたくなかったのに!
唇を噛み締めてうつむいた私は、とても失礼だったと思う。
これでもう、この話がパアになってもおかしくないと思った。
なのに、水嶋さんは
「すみません、失礼しました。怪我はありませんでしたか?」
と、もう一度ゆったりと私に向かって微笑み掛けた。