腕枕で眠らせて



お風呂からあがって、早速お母さんに借りたお高価い美容液でパッティングする。


「うわ、3万円だって。これは効く。絶対に効く」


実際は内容うんぬんよりもプラシーボ効果な気もするけど。けどそれでも有り難いと思いながら真珠色の美容液を顔に刷り込んでいると

~♪~♪~♪

テーブルに置いていたスマホが電話の着信を報せた。




「美織さん、今大丈夫ですか?」


「紗和己さん、大丈夫ですよー。お仕事あがりですか?お疲れ様です」


いつもより多分、私の声ははしゃいでる。

それは紗和己さんに落ち込んでいる事をしられたくないから、自然と無理してる。

大丈夫、きっと気付かれない。気付かれないうちに元気にならなきゃ。


「お疲れ様です。あの、急で申し訳ないんですが今から少し出てこられます?」


「えっ、今からですか?」


「出先から帰るところで丁度近くにいるんですよ。最近会ってなかったから少し顔が見たいなって…」


紗和己さんからの会いたいコール。胸がときめかないワケが無い。


けど。荒れた肌と心に答えを躊躇する。


「えと…」


鏡に写った自分に目を泳がせたけれど


「会いたいです、美織さん」


電話越しに真っ直ぐ囁かれてしまっては、躊躇なんて恋心にひれ伏すしか無いじゃない。







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