腕枕で眠らせて





弱いところを見せ合った夜は


たくさん、たくさん、強くなれた気がする。




急いで家に戻って慌ててお泊まりの支度をした私は、紗和己さんの車に乗って、紗和己さんの一人暮らしするマンションへと行った。



お互いのパジャマ姿に「かわいい」と笑い合って

紗和己さんがホットワインを作ってくれて一緒に飲んだ。



「昔はよく友達が泊まりに来たんでいっぱいあるんですよ」

そう言ってふたつ敷いてくれた布団で隣り合って寝ると、不思議な事に緊張より安らぎの方が強くて。


絡め合った指から、静かに紗和己さんの鼓動が伝わる気がした。



温かい。


こんなに安らぐ眠りは、いつ以来だろう。



「おやすみなさい」


の声は、半分夢うつつで言えなかったかもしれない。




ああ、でも。


明日は、元気になれる。


もっともっと、強くなれる。


紗和己さん、貴方と一緒に。




眠るのが惜しいほど幸せな気持ちで

抗えない優しい夢に落ちた。










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