腕枕で眠らせて
「こちらで箱を開いた時点でこの状態でした。5箱中2箱だけがそうだったので郵送時の事故では無く梱包が甘かったんでしょうね」
そう説明すると、玉城さんは再びバインダーを持って店内の商品を数え始めた。
「…申し訳ありません…私の責任です。ご迷惑お掛けして本当にすみません…」
「お客さまにお出しする前でしたから大丈夫です。ただ硝子製品なので亀裂のチェックや梱包は厳重にお願いしますね」
玉城さんの言葉が胸に痛く突き刺さる。
目の前の無惨なサンキャッチャーの姿とあわせて涙が出そうだ。
硝子製品を扱う事を決めてから、その扱いには細心の注意を払ってきた。
買ってきたクリスタルとビーズをひとつずつチェックして、梱包も硝子を傷付けない素材を選び丁寧に慎重にやってきた。おかげでこの二年間破損や亀裂のクレームはほとんど無かったのに。
…一度にふたつも…。それも、こんな粉々に…
ショックが隠せなかった。
お客さまの手に渡る前に発覚したのは良かったけれど、でも、紗和己さんや玉城さんに迷惑を掛けてしまった。
商品の不良は取引の信頼に係わる。
せっかく私のサンキャッチャーを気に入って扱ってくれている紗和己さんに申し訳がたたない。