腕枕で眠らせて
昨夜の約束通り閉店時間を見計らって私は【pauze】にやってきた。
手には新しく作ったばかりのサンキャッチャーをふたつ持って。
昨日は焦っていて気付かなかったけど、お店の扉にはシンプルなリースが飾ってあった。窓にもスノースプレーでMerryX'masの文字が描かれてたりして【pauze】もクリスマス一色だ。
「クリスマスかぁ…」
リースの出迎える扉を開こうとして、一旦手を止めた。
…クリスマス、やっぱり紗和己さんは忙しいんだろうな。一緒に過ごしたいけど無理かなぁ。
せめて、お店が終わってから少しだけでも。…いっそ、紗和己さんのマンションに泊まりに行っちゃおうかな。
少しあきらめの覚悟と、でも何とかならないかなと云う期待と。その両方を胸に抱いて、私は紗和己さんの待つお店の扉を開いた。