腕枕で眠らせて
カフェの洗面所で、小さな小さな傷を水で流しながら
―――もっと大切にして下さい―――
水嶋さんの言葉を思い出して、少しだけ涙ぐんだ。
水嶋さんがどんなつもりでそんな事を言ったのかは分からないけど、でも
あまりにも優しくて温かいその言葉の響きは、まだ傷の癒えていない私の心にあまりにも沁みて。
私は顔を上げて洗面所の鏡に映すと、ちょっと崩れたマスカラを直して
……私の大切な硝子のオブジェを…あの人になら預けてもいいな……
と決意して、水嶋さんの待つテーブルへと戻った。