腕枕で眠らせて
この幸せを壊したく無いと願ったから
もう濁りたく無いと思ったから
私はしばらく【pauze】には行かない事を密かに決めた。
つまらない事でやきもきしたくない。
仕事で私より紗和己さんの近い所にいる女性に妬いたりしたくない。
そう思ったから決めた事だったのに。
どうして私は気付かなかったんだろう。
自分があの時と同じ行動を繰り返そうとしてる事に。
臆病で見て見ないふりをして。盲目的に信じる事で不信感を消して。
それがますます私を静かに濁らせると云うのに。
どうして「あの女(ひと)が怖い」って、素直に言えなかったんだろう。
紗和己さんならきっとそんな弱ささえ受けとめてくれたのに。
忙しい12月が終わって
一緒に年越しをして
前よりもっと近くなった距離を感じていたある日に
それは訪れた。
「えっ、玉城さんが入院?」
「ええ、検査入院ですが元々は体調が悪くて来院したらしいんで…先月の疲れが出たのかもしれないですね。
僕、明日、お見舞いに行ってこようと思うんです」
「……そう、ですか。…私からもお大事にと伝えておいて下さい」
トロリ。トロリ、と。
私の中に、静かに澱が溜まっていく。