腕枕で眠らせて
「紗和己さん」
「なんですか?」
「このお店が完成したら、私にひとつ贈り物をさせて下さい」
「贈り物、ですか」
「サンキャッチャーを作ります。きっと、今までで一番キラキラの物を。
このお店が。【pauze】が。紗和己さんが幸せになるように、祈りを籠めて作ります」
今はまだテントに覆われている新しい【pauze】を真っ直ぐ見つめながら、憧れを込めて言った。
もっともっと寄り添いたい。美織としても。鈴原としても。貴方の成功を一番側で喜べる人で在りたい。
隣に立つ紗和己さんは、そっと私の手を取ると優しく握りしめて
「…今日、一緒に来られて良かったです」
そう、呟いた。
重なった心で握り合った手は温かくて
きっとそれはキスよりも肌を重ねるよりも
強い結び付きのような気がした。
私は
サンキャッチャーが好き。
硝子が好き。
優しく温かく光を映すそれは、貴方を想う心に似ていると思う。
春も夏も秋も冬も晴れでも雨でも曇りでも
キラキラ瞬く事をやめなくて
私はそれがとてもいとおしい。
けれどそれはとても脆い。