腕枕で眠らせて



「紗和己さん」


「なんですか?」


「このお店が完成したら、私にひとつ贈り物をさせて下さい」


「贈り物、ですか」


「サンキャッチャーを作ります。きっと、今までで一番キラキラの物を。

このお店が。【pauze】が。紗和己さんが幸せになるように、祈りを籠めて作ります」



今はまだテントに覆われている新しい【pauze】を真っ直ぐ見つめながら、憧れを込めて言った。



もっともっと寄り添いたい。美織としても。鈴原としても。貴方の成功を一番側で喜べる人で在りたい。



隣に立つ紗和己さんは、そっと私の手を取ると優しく握りしめて


「…今日、一緒に来られて良かったです」


そう、呟いた。



重なった心で握り合った手は温かくて
きっとそれはキスよりも肌を重ねるよりも
強い結び付きのような気がした。









私は

サンキャッチャーが好き。

硝子が好き。


優しく温かく光を映すそれは、貴方を想う心に似ていると思う。


春も夏も秋も冬も晴れでも雨でも曇りでも
キラキラ瞬く事をやめなくて

私はそれがとてもいとおしい。







けれどそれはとても脆い。


< 202 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop