腕枕で眠らせて
自由ヶ丘の
カフェやブティックの建ち並ぶ通りの角。
いつか紙で見た未来予想図はそのまま魔法のように今私の目に形として映っていた。
「……すごい、本物だぁ」
そこはかとなく間の抜けた感嘆に紗和己さんは可笑しそうに嬉しそうにニコリとして、建物の中へと案内してくれた。
「…うわぁ…」
やっぱり、感嘆の声が零れてしまう。
だって。スゴい。スゴい素敵。
まだ大まかな備品しか置かれていない店内は、南の窓から目一杯光を受け入れて白い壁を白銀のように眩かせて。
ああ、スゴい。
光でいっぱいだ。
「スゴいね紗和己さん、本当に日当たり良好。明るくてキラキラしてる。絶対、いいお店になるね」
興奮して稚拙な感想しか出てこないのがもどかしい。
そんな私に目を細めながら頷いて、紗和己さんはさっき私が渡した紙袋を開いた。
しゃらら、と音がして色を連ねた硝子がその姿を現す。
オレンジと、ピンクと、透明と。
3色をグラデーションにした、サンキャッチャー。
いつもより大きめなのは、お店のインテリアとして映えるようにした為。
「とても…温かくて幸せなサンキャッチャーですね。ありがとう、美織さん」
少し早い私からの開店祝いに紗和己さんはとても嬉しそうに礼を言って、早速それを光のよく当たる窓辺へと飾った。