腕枕で眠らせて
冬の風はキリキリと肌を刺す。
そんな踞りたくなるような寒さの日でも大好きな人と一緒ならへっちゃら、なんて。
のろけてたのがいけなかったんでしょうか。油断してたのがいけなかったんでしょうか。
ねえ神様。私達これからデートです。紗和己さんがやっと取れたお休みで近場の温泉に一泊なんです。幸せいっぱいなんです。
なのになんで。
出発前に立ち寄ったコンビニの前で元カレに会うなんて最悪な状況に陥らなきゃならないの。
「美織…!久しぶりじゃん!」
私の頭が冷静になれる前に、最悪な状況はにこやかに近付いてきた。
胸がグルグルし過ぎて思考が追い付かない。
無意識に足が一歩後ずさった。