腕枕で眠らせて
待ち遠しい夜になって。
仕事帰りの愛子と待ち合わせしたのはオフィス街近くの居酒屋。
私が会社勤めをしていた頃からよく使った場所だ。
見慣れた店内に入って愛子をさがすと
「美織ー、こっちこっち」
と、奥のテーブルから手を振る愛子の姿が見えた。
と。
店内を進んでいた私の足が止まる。
愛子の向かいの席に紺色のスーツを着た背中が見える。
その背中が振り向いて
「おせーよ、美織」
私に向かってご機嫌に笑った。
「な、んで…楷斗がいるの!?」