腕枕で眠らせて
ただ、私が傷付いてたこと知って欲しかった。
本気で好きだったこと分かって欲しかった。
そして二人で過ごした時間に嘘じゃない幸せもあったって、認めて欲しかった。
傷付いた恋さえも、いつかきっと長い人生の中で笑って振り返れるように。
「…本当、悪かったな」
俯いてしまった私の頭を、ぽんぽんと楷斗が撫でた。
昔のように。
振り払いたいけど、今は顔を上げたくない。
気持ち、上手に消化出来ない。
「…もういい……もう怒ってないから」
呟くように言った私に、楷斗が嬉しそうに笑った。
「…でもやっぱりもう会わない。昔みたいに仲間にはなれない。
ごめん、私、帰る」
そう言って立ち上がった私に、テーブルの雰囲気が張り詰めた。