腕枕で眠らせて
「せっかく仲直りしたのに連れない態度取るなよ。一杯くらい一緒に飲んでくれたっていいじゃん」
「…それは出来ない。言ったでしょ、仲間には戻れないって。それに…楷斗とは会わないって、彼氏と約束したんだもん」
いくら知らなかったとは言え、こうしてまた楷斗と今日会ってしまった事は、私の罪悪感になる。
「彼氏って、こないだ隣にいた男?」
あれ。なんだ、やっぱり紗和己さんのこと気付いてたんだ。
あえてそれを無視してたってのが楷斗らしい狡さだな。
ちょっと呆れながら頷く。
「…へー。お前、男のシュミ変わったねえ」
人を逆撫でするような言い方に、思わずムッとした。
「関係無いでしょ。とにかくもう楷斗とは会わないから」
そう言って背を向けて帰ろうとした私の腕を、楷斗がグイッと引っ張った。
「待てってば!言いたい事があって来たんだから聞けって!」
「何?言いたい事なら早く言ってよ」
腕を掴まれながらも、私は外灯の下の歩道をサクサク歩く。
時々通り過ぎる人が私たちを好奇の目で見ていった。
もう、早く離してよ。
眉間に皺を寄せた私の腕をいっそう強く引っ張って、楷斗は私を振り向かせるとキッパリと口を開いた。
「俺たち、やり直そうぜ」