腕枕で眠らせて
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「……って言うのが、今日の顛末です…」
静かな夜更けの、紗和己さんのマンション 。
苦い湯気をたてるコーヒーを乗せたダイニングのテーブルを挟んで、私と紗和己さんは明るくはない顔をして向かい合っている。
「…それで、美織さんは何て返事したんですか」
「…『絶対無理、あり得ない』って言って、走って逃げて来た…」
楷斗の復縁宣言に背を向けて逃げた私は、たまらなくなって家には帰らずそのまま紗和己さんのマンションへと駆け込んだ。
だって。こんな気持ちひとりで抱えて眠るには、冬の夜はあまりにもキリキリ冷たすぎる。
突然来た私に、紗和己さんは驚きながらも迎え入れてくれたけど。
「それでうちに来たんですね。
…心配しました。突然電話を切ったと思ったら切羽詰まった顔でうちに来るから」
今日の彼は、まだ一度も笑っていない。