腕枕で眠らせて
当然だと思う。
楷斗に呼ばれた直後に電話を切って。
急に駆け込んで来たと思ったら、こんな話を聞かされて。
嫌な気分にならないワケが無い。
「ごめんなさい、紗和己さん…」
「美織さんが謝るような事じゃありませんよ」
素直に話すべきじゃ無かったかも知れない。
隠し事は嫌だけど、でもこんな話聞かされても紗和己さんだってどうしようもない。不安になるだけなのに。
俯きながら上目でちらりと彼の表情を窺う。
紗和己さんは目を伏せるようにしてコーヒーを飲んでいた。表情が見えない。
………怒ってる…かな。
いくらなんでも。
絶対に楷斗と会わないって言ったのに、まんまとアイツの策略に乗って会ってしまって。
しかも復縁宣言までされるような隙を与えて。
我ながら警戒心が足りなかったと反省する。
でも。ただ。けれど。