腕枕で眠らせて
「僕にも手伝わせて下さい、貴女が過去を乗り越えるのを。自分の傷と向き合う事を。
それがどんな結果になろうとも、貴女が出した答えなら僕は喜んで支え続けますから」
「…紗和己さん…」
涙を拭う手を受け入れながら、私も体を起こして紗和己さんとベッドの上に向かい合った。
紗和己さんが切な気に微笑んで、大きな手が私をその胸に抱き寄せる。
そこは紛れもなく温かくて。
優しくて。私を受けとめてくれる場所だった。
「…紗和己さん……ごめんね…
…私、自分のコトばっかりで、紗和己さんを不安にさせてる…」
ほろほろと、涙が止まらない。
それでも優しい手が愛おしくて、苦しくて。
「大丈夫。僕は貴女が不誠実な事をするとはこれっぽっちも思ってません。
けれど、時にひとりで向き合いきれない時は僕を呼んで下さい。無理をして、僕の気付かない間に傷付いて泣くような事だけは…僕は絶対嫌ですから」
強く抱きしめる手からは、彼の想いが伝わってくる。
いっぱい過ぎる優しさと信頼と
けれど掻き消せない、独占欲。
きっと不安にさせている事には変わらないんだろう。
それでも紗和己さんは支えると言ってくれたから。
「…ありがとう。大好き、紗和己さん」
私の涙が滲んでしまった紗和己さんのパジャマの胸をそっと手の平で押さえた。
伝わる鼓動に頬を寄せ、その隙間にキスをする。
「……美織さん…」
愛してる。
唇でその形を綴って
離れないと彼の耳元で囁いた。