腕枕で眠らせて
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紗和己さんが、その提案をしてきたのはそれから1ヶ月後の事だった。
「美織さん。僕のマンションに一緒に住みませんか」
まだマフラーは手離せないけれど、よく晴れた穏やかな青空の下だった。
肩を並べて季節の花や冬の名残の空気を楽しみながら自然公園でのデート中。
白い花を綻ばせようとしている木蓮の前で、紗和己さんは足を止めて語った。
「もっともっと、美織さんの事を知りたいと思ったんです。
強くて優しくなっていく貴女をもっと近くで見ていたいって。
今よりもっと、側にいてもいいですか」
そう真剣に紡いだ紗和己さんの言葉に、私は雨の日に彼の胸で抱いた情熱を思い出した。
―――離れない。
そう思ったのは私だけじゃなかったんだ。
「ふふ、ふふふ。
紗和己さんてば。私のコト好き過ぎ」
泣きたいくらい嬉しいから、でもちょっと照れくさいから。
赤くなった顔を手で覆って笑っちゃった。
「ズルいですよ美織さん。こんなに好きにさせたのは貴女なのに」
紗和己さんも赤くなった顔でちょっと拗ねて見せながら、顔を覆っていた私の手を掴んでほどいた。