腕枕で眠らせて






花が順番に咲き巡るように。


太陽が少しづつ日々を温めて行くように。



きっと、私たちの季節も移ろっていくんだ。






「私、夜型だから朝はお寝坊ですよ?」


「全然かまいませんよ。僕が毎朝美織さんの為に美味しい朝食を作ります。林檎もウサギにしますよ」



おどけた私に、紗和己さんが嬉しそうに目一杯の笑顔で笑う。



「一緒に暮らしたら、私、毎日紗和己さんといっしょにお風呂入っちゃおうっと」


「大歓迎ですよ。僕が肉食系だって忘れましたか?」



クスクスと笑い合うふたりの間に、仄かに春の息吹が香る。



見上げた空には優しい陽射しと咲き染めの白い木蓮。



「もう春だね、紗和己さん」



空に向かって伸ばした手に、私は何を掴もうとしたんだろう。



「愛してます。美織さん」



そんな私を後ろから抱きすくめた紗和己さんの手が、教えてくれた。






温かい春は


次の季節は、すぐそこに、と。















番外編*Second Season*



.。.:*・゜おわり゚・*:.。.




< 283 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop