腕枕で眠らせて
「ふふふ、ありがとう水嶋さん。一緒に電車で行って下さい」
口元を押さえて笑いだしてしまった私に、水嶋さんは柔らかい目元を三日月型に曲げて
「本当、鈴原さんの笑いって伝染りますね。ふふ」
そう笑って照れたように頭を掻いた。
「じゃあお店は私に任せてどうぞ行ってきて下さい、オーナー」
笑い合っている私たちを不思議そうに見ていた玉城さんが、ざっくり畳んだエプロンを水嶋さんの手からヒョイと取り上げて言った。
「ありがとう玉城さん、じゃあ後の事は頼みます」
水嶋さんはそう言うと私の肩をポンポンと叩いて出入口へ促し、一緒に表へ出た。