腕枕で眠らせて
「新しい人との出会いが良い刺激になったんじゃない?」
佐知はそう言って、小さなクリスタル硝子の入った箱の蓋を丁寧に閉じた。
「心も体も適度に刺激されて疲れた方がグッスリ眠れるってもんよ。美織は引きこもりだからたまにはそういう刺激が無いと」
人を堂々と引きこもり呼ばわりする佐知は、高校時代からの親友でもあり、私のサンキャッチャー製作に欠かせない硝子工房の女将(って言うのかな)でもある。
サンキャッチャーに使うクリスタル硝子のトップやビーズを、私はこの親友の夫が営む硝子工房で主に買い付けていた。
オーダーメイドをしてもこちらの納得がいく物を作ってくれるし、佐知の親友と云うことでお値段の融通もきく。
その代わりでは無いけれど、郵送と梱包の手間を省くため私は数週間に一度こうして隣県の工房まで自分の車で注文した製品を取りに来るのだった。