腕枕で眠らせて
―――佐知は、恋愛至上主義だから。
だから、常にロマンティックなピンクのフィルターを掛けて世の中を見てるんだと思う。
だから、私が珍しく男の人の話をしたからきっとあんな事を言ったんだと思う。
『社長の事話してる時、美織すごい良い顔してたよ』
…どんな顔よ、それ。
家に帰った私は夜になってじっと部屋にある鏡とにらめっこしていた。
水嶋さんの事を思い出しながら自分の顔を眺める。
「………」
ほーら、なんの変哲もない。
私は自分へか佐知へか当て付けのような嘲笑をニーと浮かべた。うわ、可愛くない。
水嶋さんはいい人だと思う。
雰囲気が柔らかくて、人に警戒心を抱かせないタイプ。
でもそれはあくまで仕事上の付き合いの話。
プライベートではあの爽やかさの裏でえげつない恋愛をしてるかもしれないじゃない。
そうよ。だって。きっと男なんてみんなそんなもん。